土地を持っているから、何かに活用したい。親も高齢になってきたし、そろそろ相続税について考えなきゃ。そのように考えている人にとって、まずは土地活用が考えられます。中でも駐車場経営は初期費用が少なく、経営開始後にも活用方法を変更できることから、最近改めて注目されている活用方法の一つです。しかし駐車場経営は、実は相続税の節税とはなりません。以下では、相続税や土地活用についての金融知識を広く解説していきます。
土地活用はSK-Park
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相続手続きの流れ
相続発生後にやる手続きは多く、期限があるものもあります。まずは死亡届の提出(7日以内)。相続財産の把握と評価を行い、相続放棄や(負債を除いたプラスの財産だけを相続する)限定承認は3か月以内に。故人の所得税・消費税の申告(準確定申告)は4か月以内に。遺産分割協議を成立させ遺産分割協議書を作成(不成立なら調停・裁判)、遺産分配。そして、自身の引き継いだ相続財産に対しての確定申告は10か月以内に行わなければいけません。
相続税
相続税の計算の基礎となる財産には、故人の土地や建物等の不動産、現預金や株式等の動産、著作権や特許権等の権利だけでなく、借金等の債務も含まれます。現預金の金額は分かりやすいですが、不動産は特に決まった価格のないものです。土地と建物については別々に計算を行います。
建物は固定資産税評価額通りとなります。土地は「路線価方式」と「倍率方式」があります。そして算出された評価に対し、様々な控除などを行い、課税される評価額(課税標準額)が決定します。
土地活用としての駐車場経営
駐車場経営は初期投資が少なく済み、狭い土地や不整形地でも活用が可能で、管理は不動産管理会社に頼めば手間もそれほどかかりません。また、今後何か建物を建てるなどの可能性がある土地への活用としても用いられ、短期間でも土地を遊ばせずに収益を上げることが出来るという利点も相まって、ローリスクローリターンの方法として支持されます。
駐車場経営の効果は限定的
駐車場経営はその参入のし易さから、経営初心者向けと言えるやり方です。収益性を求めつつ相続税の節税対策として駐車場経営を行うという考えを持つかもしれませんが、残念ながら土地の節税対策にはなりません。なぜなら土地は「非住宅用地」と「住宅用地」に分けられ、居住用の建物を建てて「住宅用地」にすることで評価額を減少させる必要がある為です。他に「小規模宅地の特例」の制度を活用できれば節税となることもあり得ますが、いずれにせよ駐車場経営では建物を建てない為、利用できません。
土地の評価額
土地は市街地の「路線価方式」と郊外・農村地等の路線価がない場所で用いられる「倍率方式」があります。いずれかの方式により相続税評価額が算出され、そこに一定の係数をかけて相続税の対象となる価額を算出します。更地やオフィスビルなどは「非住宅用地」として係数は70%になります。居住用建物がある土地は「住宅用地」として係数は1/6または1/3となります。計算例:(非住宅用地)評価額3億円×70%=2億1千万円。(住宅用地)3億円×1/6=5千万円または3億円×1/3=1億円。
小規模宅地の特例
相続財産にはもちろん自宅土地建物も含まれます。例えば自営業を営んでいた故人と同居していた相続人が、相続税支払いの為に自宅兼店舗を売却しては、生活拠点と仕事を失ってしまいます。そこで、一定の要件を満たす宅地等に対し、評価額を減額する特例があります。それが「小規模宅地の特例」です。特定居住用、特定事業用、貸付事業用に分類され、50%~80%軽減されます。
土地活用としてのアパート経営
相続税の節税対策としては、上記の通り建物があることによって評価減となり得る為、駐車場経営では対策となりません。その為、アパート経営を行う人が多いのです。アパート経営は収益性が高く人気のあるやり方ですが、初期投資が多額にかかり、多くはその費用を借り入れで賄うため、空室となり賃料収入が少なくなった際に大きなリスクとなります。立地や周囲の環境から予算と建物規模を決め、またどの層に向けて建てるか、いずれは売却するか、など、事前に検討する事項が多岐に渡ります。まずは不動産会社や金融機関などに相談することをお勧めします。
貸家建付地の特例
アパートなど賃貸物件を建て他人に貸すと、その土地は「貸家建付地」として評価減の対象となります。他人に貸すと、借りている人は借家権に守られ、自由に退去させることができず、建て替えなども自由には出来なくなります。その分評価を減少させるのです。
生前の不動産購入について
現預金で1億円持ったまま相続となると、そのまま1億円として課税されます。1億円で土地や建物を購入し保有資産を不動産に変えると、場合によっては評価額が減少することがあり得る為、節税対策となります。
不動産購入のメリット
〈土地の評価額〉の項目で述べたように、3億円の現金を不動産に変えたとして、仮に土地が1億5千万円、建物1億5千万円であれば、土地が1/3で5千万円(建物と合計2億円)、1/6で2千5百万円(同じく1億7千5百万円)になります。最大1億2千5百万円の評価額減少効果となりました。
不動産購入のデメリット
デメリットとして、購入した不動産の価値そのものが減少することがあり得ます。また、急に現金が必要となっても、すぐには資金化できません。その他、思った賃料収入が得られない、固定資産税の負担が大きいなどのデメリットもあり得ます。不動産購入には慎重な検討が必要です。
土地活用の色分け
納税が多額になり、不動産を売却して納税資金を作る場合もあります。事前の準備として、不動産を①自宅や事業などの為に必ず保有しておく土地。②賃貸物件など活用する土地。③いずれ手放すことも考え、そのまま、あるいは駐車場など柔軟な対応が出来るようにしておく土地。の3種類に色分けしておくことをお勧めします。
生命保険の活用
相続税の節税対策は不動産以外にもあります。代表的なものとして、生命保険の活用があります。生命保険の死亡保険金は、相続税が非課税となる制度があります。(5百万円×法定相続人の人数まで)
生前贈与
生前に贈与しておくという手もあります。代表的なものは、暦年贈与で年間110万円の非課税を活用するというものです。ただし、毎年110万円ずつ10年間で1100万円贈与していたら、一括で1100万円の贈与と同じこととみなされ、贈与税として課税されることもあるので注意が必要です。また、教育資金として子や孫への贈与が非課税となる制度もあります。
まとめ
不動産は時代に合わせて、形を変え活用していくべきものです。駐車場経営も場所によっては良くも悪くもなり得ます。正解は一つではありません。相続税の節税対策も含めて考えるなら、特に早めの検討をしておくことをおすすめします。
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