駐車場経営に備えておきたい保険とは?起こりうるリスクやトラブルを理解して安定した経営を

駐車場経営を行う際に、必ず検討していただきたいのが保険への加入です。

コインパーキングのような無人駐車場では、設備機器の故障や事故、盗難などさまざまなトラブルが予想されます。保険に加入していなければ、事故やトラブルが起きた際に、自腹で高額な修繕費用や賠償金を支払わなければなりません。

今回は駐車場経営を行う際に加入しておくと安心な保険と、トラブル事例も併せてご紹介します。安心して経営を行うために必要な保険を備えておきましょう。

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駐車場経営に備えておきたい保険

駐車場経営を行う際に備えておきたい基本の保険には、以下の3つがあります。

  • 施設賠償責任保険
  • 動産総合保険
  • 火災保険

保険にはそれぞれ特徴があり、補償対象が異なります。「どのような時」「だれが、なにが被害を受けた時」に補償の対象となるのかをしっかりと確認しておきましょう。

1つの保険に加入しただけでは、いざ事故が起きた際に十分な補償が受けられない可能性があります。特にコインパーキングでは、不特定多数の人が日々利用するため、予想以上にトラブルが起こると考えておくほうが良いでしょう。

保険への加入は任意ですが、加入しておくことで、高額な支払い義務が発生した際にも保証内容が条件を満たすことで保険会社が補償してくれます。想定されるリスクが十分にカバーされるように、それぞれ適切な保険に加入することをおすすめします。

施設賠償責任保険

1つ目の施設賠償責任保険は、利用者や利用者の車、近隣の住民である「人や物」が対象の保険で、以下の特徴があります。

  • 駐車場の設備が原因で事故が発生し、経営者が法律上の損害賠償責任を負担する場合に、損害が補償される。
  • 「駐車場の設備」とは、料金表示の看板、精算機、ゲートバーなどの機器、照明など全てが含まれる。
  • コインパーキング、月極駐車場に適している。

施設賠償責任保険では、次の場合には補償されませんので注意しましょう。

  • 地震や自然災害が理由で発生した損害
  • 故意によって生じた事故
  • 駐車場内の修理や取り壊しなどの工事が原因の損害賠償責任

トラブル事例

「設置していた看板が落下。利用者がケガをしたケース」
利用料金を表示するための看板が落下し、近くで料金精算中の利用者に破損した看板の一部が直撃した。利用者は足を負傷し、医師から全治1カ月の治療が必要との診断がでた。

施設賠償責任保険へ加入していれば、この場合に利用者の治療費にかかる費用が補償されます。

日頃から設備の点検をしていても、予期せぬ事故が起こる可能性は十分にあります。多額の損害賠償を支払うリスクを回避するために、保険を備えておきましょう。

動産総合保険

2つ目の動産総合保険は、主に駐車場内の機器に対してかける保険で、以下の特徴があります。

  • 予測不可能であった機器の故障や、盗難などが補償対象。
  • 主にコインパーキングを経営する場合に適している。

補償の対象となる事例には次のようなものがあります。

  • 駐車場内のロック板やゲートバーが壊された。加害者は連絡をせずに逃げてしまった。
  • 精算機内が壊され、中の現金が盗まれた。

動産総合保険では、機器を新しく購入しなければならない場合に、補償額は「時価額」で算出されます。

時価とは、補償が発生した際の対象物の評価額です。駐車場内の機器は減価償却物であるため、時価額は年々低くなります。そのため、機器を新たに購入する際に必要な金額の全額が補償されるというわけではありませんので注意が必要です。

動産総合保険に似たもので「機器保険」があります。
機器保険も同じく、駐車場内の機器に対してかける保険ですが、動産総合保険と違う点として以下があります。

  • 機器の補償額は「新価」で算出される。
    新価とは、同じ機器を新しく購入する際の価格です。機器代が満額支払われる分、機械保険の方が、保険料が割高になります。
  • 盗難は補償対象外
    動産総合保険では、精算機内の現金も補償対象ですが、機器保険では現金の盗難や、その際に破壊された機器については補償されません。

コインパーキング経営では現金を扱うため、どちらか一方に加入するのであれば、動産総合保険が適していると言えるでしょう。

トラブル事例

『精算機内のお金が盗まれた』
利用者から精算機が壊れていると連絡があった。急いで駆けつけると、精算機が無理やりこじ開けられ故障していた。精算機内のお金は盗まれており、精算機は直せる状態ではなかったため、買い替えが必要だった。
動産総合保険に加入していれば、この場合に以下が補償されます。

  • 機器の買い替えには「時価額」での補償がされる。
  • 精算機内の現金も補償対象。

駐車場の設備を自腹で購入するとなると高額な費用が掛かってしまいます。トラブルが起こるたびに多額の出費が必要となる事態を避けるためにも、保険への加入は大切です。

火災保険

火災保険は、建物内で駐車場経営をする場合に加入をおすすめする保険です。主に以下のような自然災害によって建物が破損したり、倒壊したりした場合に修繕費用が補償されます。

  • 火災
  • 風災
  • 水災
  • 雪災
  • 落雷

駐車場を経営する場所がマンションの1階部分だったり、商業施設内の場合、駐車場以外で発生した災害が駐車場にまで及ぶ可能性があります。被害に巻き込まれた際でも、補償が受けられるように備えておきましょう。

また火災保険には「破損・汚損」プランが追加できます。当て逃げなどによる駐車場内の損傷や、悪質ないたずらや落書きによる被害も補償対象になります。保険内容を充実させたい場合に加入しましょう。

トラブル事例

「マンション火災により駐車場が被害を受けたケース」
経営している駐車場の2階部分で火事が発生した。被害は大きく、駐車場の一部も運営ができない状態になった。

火災保険に加入していれば、この場合に修繕費用が補償されます。

火災保険は建物に対しての保険のため、建物を建てた時点ですでに加入している場合が多いです。その際には、保険会社へ破損・汚損も対象になっているかを問い合わせてみてください。不足していた場合は、新たに追加できるか確認してみましょう。

駐車場経営に必要な保険を選ぶポイント

駐車場経営には、故意によって起こる悪質なトラブルや、自然災害によって起こる事故などさまざまなケースが予想されます。

トラブルに備えるために保険を調べても、いろいろな補償内容の商品があり、どれに加入するべきか悩んでしまうものです。よく分からないまま保険に加入すると、いざという時に補償対象外であったり、満足な補償を受けられない可能性がでてきます。

適した保険を選ぶために、以下のポイントを抑えておきましょう。

  1. 2つの保険で内容が重複している箇所があれば、補償額や補償範囲を見比べて、自身に適した一方に加入する。
  2. 保証内容と保険料のバランスが良い保険を選ぶ。

保険には、特殊な事例に対してや、補償内容が類似しているものがあります。内容を比較することで、必要のない保険への加入を防ぎましょう。

まとめ

駐車場経営において、保険への加入は検討すべき重要な項目と言えます。

保険の選び方は、コインパーキングなのか、月極駐車場なのか、マンションなどの建物内なのか、屋外なのかによって変わります。

補償対象も「人や物」「駐車場内の機器」などに分かれているため、1つの保険で全ての事例に対応できないことを知っておくのが大切です。

保険への加入は任意ですが、駐車場経営では損害賠償や修繕費用は高額になる可能性が高いでしょう。リスクに備えて、安心して経営を行うためには、適切な保険への加入をおすすめします。

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